高齢者の栄養管理
老化とは
生理的老化・・ 生物に必ずおこる心身の変化
*形態的変化・・ 身長が低くなる、体重・脳・筋肉・骨の重量の減少、白髪・脱毛、しわ・しみ
*生理機能的変化 基礎代謝量の減少、食物の咀嚼、消化・吸収機能、各栄養素の代謝の変化
病的老化・・ 高血圧、動脈硬化、肺気腫、慢性気管支炎、骨粗鬆症、老年痴呆など
高齢者の栄養の目的
 生命を営むために必要な各栄養素を確保する。それと同時に、生理的な老化現象に合うような栄養や食事の摂り方をし、できるだけ病的老化がおきないようにすることが大切。
 少しでも老化現象を遅らせ、かつ高齢者におきやすいいろいろな病気を予防していくこと、そしてすでに病気がある場合、その治療に有効な食事を行うことが栄養の目的となる。
高齢者のための食生活指針
 1.低栄養に気をつけよう
     体重低下は黄信号
 2.調理の工夫で多様な食生活を

     何でも食べよう、だが食べすぎに気をつけて
 3.副食から食べよう
   年をとったらおかずが大切
 4.食生活をリズムに乗せよう
     食事はゆっくり欠かさずに
 5.よく体を動かそう
     空腹感は最高の味付け
 6.食生活の知恵を身につけよう
     食生活の知恵は若さと健康づくりの羅針盤
 7.おいしく、楽しく、食事をとろう

     豊かな心が育む健やかな高齢期


 
高齢者の食事のポイント
◆消化・吸収のよいものを
 生理的老化現象により、消化液の分泌機能の低下、消化管の運動機能の低下、さらに歯の欠損による咀嚼力の低下などが見られる。そこでやわらかく消化のよい食品の選択と調理方法の工夫が必要になる。
 しかしこのことばかりを考えると、糖質食品に偏り、栄養のバランスを崩したり、食物繊維が不足してくることがある。消化がよくあっさりしたものばかり食べていると、良質なたんぱく質の摂取量が不足し、感染症にかかりやすくなる。

◆食物繊維を適当に摂る
 消化のよい食事ばかりしていると、食物繊維が不足し便秘はひどくなる。便秘を防ぐためにも、やや衰えている腸を刺激するためにも、食物繊維を含んだ食品を適当に食べることが必要。

◆大食しない
 栄養素の代謝にも老化にともなって変化がきている。例えば、成人の時に比べて、空腹時血糖は同じでも、糖を負荷するとその処理能力が低下していることがわかる。これは、食後、膵臓からのインスリンの分泌能が低下しインスリンの作用が悪くなるからである。

◆肉の脂身は控える
 脂質代謝にも変化が生じる。血中コレステロールや中性脂肪が高値を示すことが多く、動脈硬化の危険因子を多くかかえることになる。

◆薄味に慣らす
 舌には味を感じる味蕾と呼ばれる細胞がある。老化によりこの味蕾の数は減少し、構造も変化し、味覚も低下する。年をとって嗜好が変化するのは、このような味覚の変化が関与していることが考えられる。

◆規則正しい食生活にする
 特別に決まった仕事がない場合、生活のリズムは乱れ、食生活も不規則になる。食事の摂り方のリズムが乱れることは、各種代謝にも影響を与えるため十分な注意が必要。

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